癒す、癒されること

私ごとに様々翻弄されている間に桜の季節も終わろうとしています。
すっかりご無沙汰してしまいました。お久しぶりでございます。

まだ冬装束で過ごしている今の時期、急な気温の上昇で脱水になられる方が一番多い時期なように感じています。
わたしの治療院でも何人かの方が脱水気味になられました。そしてそのまま体調を崩されて、お二人の方がお亡くなりになられました。

お一人は癌の末期でわずか1カ月のおつきあいでした。もう一人の方は5年目のおつきあいになるところでした。

関わらせていただいたどの方にもそうですが、お亡くなりになられ、お付き合いが途絶えてしまうと、わたしはちゃんと自分の役割を果たせていただろうか、もっと違うやり方があったんじゃないだろうかなど様々な想いが頭の中を駆け巡ります。
それから、施術しながら話してくださったあれやこれやを思い返します。このあれやこれやは、患者さんのお家の近くに行った時や、何か思い起こすものを目にするたびに思い出します。

人生の全てを終えて、死を覚悟した人の励ましや助言下さる言葉というのは、美辞麗句のような上辺の言葉とはまるで違う、その方の人生の中から選び出されるもので、どんな言葉も私の心に染み入るように響いてきます。

訃報を知らされ、これらの言葉を思い出して一人声をだして泣きじゃくることがあります。

それは、亡くなられた別れの悲しみではなくて、癒していただいた心をもう一度自分の中で再確認しているように思います。

ご存命の間は自分のしなければならないことの方に気を取られていて、癒していただいている気持ちにフォーカスする余裕がないのではないかと思います。それで、訃報をいただいてから話していただいた様々を思い出し私の心がどんなにか癒されていたのか気づいて嗚咽するのだろうと思っています。

癒すとは、私もまた癒されているのだとしみじみと感じる瞬間です。

ご縁をいただき本当にありがとうございました。

心よりご冥福をお祈りいたします。

すっかり散ってしまった桜です。散った桜がまた美しくて好きです。

ハイパーステージアさんの個展に行ってきました

息子が部活に行くまでの朝一番に、息子たちとハイパーステージア(※)さんの個展を見に行ってきました。

出来上がった作品もさることながら、作り上げて行かれる、几帳面に折り目をつけて出来上がっていく様子に魅入ってしまいました。

折ることよりその展開図を考えることが楽しいのだそうです。
すごいなぁ。
こんなのに比べるとわたしのマッサージの大雑把でいい加減なこと!仕事(作り上げていくもの)が違うとはいえ、ちょっと恥ずかしい気持ちになりました。

(※)ハイパーステージアさんのことは以前のブログ記事に書きました。
折り紙クリエイターのご紹介

和紙に漆を塗ったものを来られた方が持参され、作品をリクエストされていました。初めての紙で硬くてしっかりとしている素材を扱いながら折りあげて行かれる姿がステキでした。

これが展開図を考えるのに三年を要した作品だそうです。箱と鶴の一体化!すごい以外言葉が出ません。

105歳の患者さん/京都府鍼灸マッサージ師会

悠生治療院の最高齢の患者さんは105歳です。

昨年から転倒が増えて、今はもう歩けません。
今日伺うと、
「歩けへんのがあかん。どうやったら歩けるようになるかなぁと考えるけど、医者やないからわからへん。」とおっしゃいます。

お元気で、起き上がりも軽く自力で出来ます。ご飯もパクパク召し上がられます。
でももう一度歩くには、骨折や関節を痛めるリスクを考えると積極的なリハビリをする気にはなりません。介助で立位を取ってもらうのが精一杯です。

お手伝い出来ることがあるかもと、もし歩けたら何がしたいのとお聞きしました。
すると「政治家や。お国のことを考えなあかん。」とおっしゃいました😲

105歳にして、まだ「お国の為に働きたい」という驚くべき志しに恐れ入りました。

話は変わりますが、先日の日曜日は、京都府鍼灸マッサージ師会の保険部会の研修会でした。

日本鍼灸マッサージ協同組合から理事長の堀昌弘先生が「鍼灸マッサージにおける施術事故等について」と題して、昨今の損害保険請求の事例についてご報告下さいました。

また、全日本鍼灸マッサージ師会の保険局長の往田和章先生が「受領委任制度導入後の取り扱いの変化について」と題して導入決定までの厚労省との攻防と今後の見通しについてご報告下さいました。

どちらのお話も非常に興味深く拝聴しました。

お話から先生方が、鍼灸マッサージ業界の命運をかけて日々奔走して下さっていることに感銘を受け、我が事に汲々としている自身を振り返り、申し訳ない気持ちと、多くの同業の先輩方のご尽力に恥じない仕事をしないといけないなとつくづく反省しました。

こんな時に、105歳の方から政治の世界で活躍したいと聞かされて、全くかなわないなぁとしみじみ感じました。

京都府鍼灸マッサージ師会への入会率は年々低下の一途を辿っているようです。
(京都府鍼灸マッサージ師会の上部組織が全日本鍼灸マッサージ師会で、ここに所属していることがこの協同組合に入会する条件になっています)

私自身、自分で開業するまでは、この会に所属はしていてもとりわけ参加することなく過ごして来たので、会費を払うだけの価値を感じることが出来ず入会されない方の気持ちも分からなくはありません。

しかしながら同業の繋がりの中でしか気がつかないことや出来ないことも多くあるように思います。

未入会の方は是非お入り下さいませ。
会員だけど会の活動に参加することのない方々は、是非に交流に来て下さいませ。

▼公益社団法人 京都府鍼灸マッサージ師会公式サイト
https://ksmk.jp/

きっと新しい発見が必ずあると思います。これらは、「孤独で退屈」な毎日のカンフル剤になると思います。

心より、お待ち申し上げております。

薬の副作用について

厚生労働省は2年前の2016年3月22日に、解熱鎮痛消炎剤の「ロキソプロフェンナトリウム水和物(経口剤)」について、医薬品添付文書の「重大な副作用」の項目に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」を追記するよう指示を出しました。(※1)
このネットニュースがFacebookでシェアされていた記事を読み、わたしも自分でシェアしたところ、思いのほか反応があったので、ブログにまとめることにしました。ネットニュースの見出しは扇動的(※2)であったことも反応を引き出したのかもしれません。

わたしは、日々薬の凄さを実感しながら、仕事をしているので、薬の服用を否定的には考えていません。

痛み止めというのは、老化や障害で心身に不具合が生じた時には大変有効な薬だと思います。

ただ薬の作用・副作用をきちんと理解して服用することが大切だと思います。

ロキソニンはつい数年前までは、もっとも一般的に処方されていた消炎鎮痛剤ではないかと思います。

しかしながら、ロキソニンの副作用が大きく、今では一般的に処方されることは少なくなったように思います。

その副作用の一番は、ロキソニンなしでは我慢出来なくなる依存性が大きい上に、長年にわたる服用で、痛みに対する感受性が高まるという副作用があるそうです。
それでも10年くらい前までは、患者さんの依頼に従って1日3回服用する頻度で普通に処方されていたように思いますが、副作用で大量の吐血で始まる胃潰瘍になる方が続出し、簡単に処方しなくなったのではないかと思います。
その結果、ロキソニンを普通に処方する医師はほぼいなくなり、今は一般的な消炎鎮痛剤としてカロナールという薬が処方されているようです。
しかし、効果がロキソニンより弱いようで、市販のロキソニンを買って飲み足す方がいらっしゃるようです。

また、痛みというのは、痛みが長期間持続すると痛みの回路が出来上がり、原因を取り除いても痛みが持続するそうです。
外傷の場合、早期の痛み止めの使用は大変重要だと考えています。
(頭痛のような内的要因についてはよくわかりませんが)
その上、小さな筋の損傷を放置することで、二次損傷が起こり回復を困難にすると考えていますから、早めのロキソニンテープの使用も大切だと考えています。

このようなわけで、副作用について考えた上で服用することが望ましいと思います。

長期にわたる継続的な服用が問題であり、腎不全や肝不全の方以外は副作用より作用のメリットが大きいと思います。

施術により、痛みを緩和することができれば、消炎鎮痛剤の服用を抑えることに繋がりますから、マッサージ師として、緩和ケアが大変大切なことであるのは言うまでもありません。

(※)1 使用上注意の改訂について 別紙2参照(厚生労働省サイトより)

(※)2 ネットニュース記事の見出しはこういうものでした。
【緊急警告】ロキソニン飲んでる奴ガチで危険です・・・重大すぎる副作用が発覚!!!

92歳の患者さんから聞く昔話

「75までは働ける。50までは練習。本番はこれからや」

中央市場で働いてきた患者さんは、今92歳。
重い荷物を運び続けて、変形性頚椎症から手足が痺れて起居動作が困難になられていますが、気持ちは現役の時のまま、しっかりされています。

そしていつも私たち若いモンを励まし続けて下さいます。
マッサージしながら聞く昔話は、本当に楽しい時間です。

「昭和元年生まれやから、すぐわかるねん。
満州事変は昭和6年。日中戦争は昭和12年。太平洋戦争は昭和16年。一番損した世代やな。17歳から国の命令で働かされてほんのちょっとの給料もらって。それも全部親に渡した。
戦争が終わった時、嬉しくてワンワン泣いたで」

えー!悲しくてワンワン泣いた人もいはったん違うんですか?

「なんでや。食べるもんもないし、いいこと一つもなかったし、終わったら嬉しいやん」

戦争体験者から聞く戦争の話は、私が子どもの頃にテレビで見たような、心の底から「戦争万歳。お国の為に我慢します」みたいな方の方が少なくて、おかしいなと思いながらも、やってきた時代の波をを受け入れ懸命に生き抜いてきたという方の方が多いように思います。

「ほんま政府は悪い奴やで。お金を没収して自分の発行した印紙を貼ったお金しか使えんようにして。あのお金はどこかに眠ってるに違いない。返してほしいわ」

「才能はあったけど親が勉強したらあかんって言って、家の手伝いと子守ばっかりさせられた。せやけど、勉強したいやん。必死になってしたけど、小学校しか行かせて貰えへんかった。
工場に働きに行った時に、女学校でた人と比べて恥ずかしく自分で勉強しておぼえたんやで」

こういう真面目で一生懸命な方。お上にたてつかず贅沢もしないで働き続けたこういう方々が戦後の日本の復興を支えてこられたのだろうと思うから、心の底からリスペクトして聞き惚れてしまいます。

「結婚してからは、家が商売してたから、無茶苦茶働いた。なまくらはキライ。必死になって働いたで。働いてお金貯めて世界中行ったよ。一番良かったのはカナダとオーストラリア。きれいで美味しいかったわ。」

「あんたも今は働けるだけ働いてお金貯めて、子どもが手を離れたら旅行行けるやん。まだまだこれからや。あんたやったら出来る。75までは働きや」

「せやけど、今が一番幸せやで。みなさんにちゃんとしてもらって、食べたいもん食べられて、お風呂に入れてもらって、こうしてマッサージに来てもらって。
マッサージしてもろたら、身体が動きやすくなるで。ほんまにありがたいで」

お金をいただきながら、こんな風に褒めていただいて、幸せだなあと思いながら仕事をさせてもらって本当にありがたいのはこちらです🙇‍♀

こういう絵に描いたような勤勉で正直な人たちは”絶滅危惧種”になりつつあるんじゃないかな。
もしそうなら日本の将来は大丈夫かなぁ。

中央市場の近くは島原という古い街並みが残っています。石畳みの道になっています。
大人気の魚の煮付け定食屋さん。毎日行列ができています。
昔の遊郭がそのままシェアハウスになっています。

90歳、五十肩の施術

月に一度、祇園まで伺う90歳の患者さんがいらっしゃいます。
昨年の京都マラソンマッサージのテレビ中継がきっかけとなって訪問させていただくようになり一年が経ちました。

一番お困りだったのは、右肩の痛みでした。整形外科に痛み止めの注射に通われていましたが、なかなかすっきりしないようでした。

五十肩は、正式な名前を肩関節周囲炎と言いますが、その名前の通り、肩関節を支持し動かしている筋肉に炎症が生じ痛みがおきます。50歳くらいに多いのでこういう名前になったのでしょう。

私は、これは老化に伴い体幹が衰え、脊柱の彎曲に変化が起きてきた結果、肩関節の可動範囲に制限が加わることで発症すると考えてきました。

ですから、肩の治療の基本は、足腰の調整にあると考えています。
この方は、足腰にも年相応のトラブルをお持ちでしたので、全身の調整をしながら、肩関節の痛みの軽減をはかりました。

かなりの程度改善してきたようにも思いましたが、月一度の施術でできる範囲は限られているようにも思いましたし、施術後にはそれなりに痛みも軽減していたのでキネシオテープ(※)で固定して効果を長持ちさせるしかないだろうかと考えていました。

(※)キネシオテープについては2/13ブログ記事に詳しく書いています

ところが、先日伺った時は、痛みが少し以前よりひどくなっているようです。以前の出来事から思い込みから入ってはいけない、なんとか出来ないか考え直して見ました。

鍼灸師の先生からは、五十肩はその場で確実に治せると聞いていました。治療ポイントも教えていただいていました。ただ一つ「絶対はずしてはいけない」ツボの場所がマッサージ的にあやふやでこれだ!という手ごたえがありませんでした。

というのも、私にとって治療ポイントとしてのツボは、本に書いてあるどこから何寸横とかいうようなあるかないかわからない場所にあるものではなく、身体の反応として指先に違和感を感じるところがツボとして名前があるものなので、そこだけは感覚として腑に落ちない場所だったのです。

それで今日はとにかくじっくりと探ってみることにしました。
鍼灸師の先生に教えてもらっていたのは、前腕と腋窩後面(脇の下を作る筋肉の背中側)です。多分五十肩の治療穴として一般的なツボなのだろうと思います。

肩貞(けんてい)という場所だろうと思います。その昔、この体系を考えた人は人体の全てを理解できていたのだろとしみじみ思いました。
その影には何千という人間の皮を剥いだんじゃないかな…皮を剥ぐ時に引っかかったところが重要なツボだと思う…👿

そうしてじっくり探っていくと、私が考えていた位置より下方外側に筋膜がよじれている場所を発見しました。
その瞬間私の中で自分の考えの間違いに気づき、肩の痛みと可動域制限の理由がわかりました。

腕の付け根で筋膜の調整がうまくできなくて、そこのよじれがより深いシワとなっていたのです。私の未熟さが症状を悪化させていたかもしれません。

私は自分のすべきことがすぐにわかりましたから、夢中で腕の付け根で引っかかっている筋膜という服を綺麗に着せ直すように戻していきました。
治療後、ご本人に聞くまでもなく、腕が元のように動くのがわかりましたが、念のため確認してもらいました。どの方向にも引っかかりなく動きました。患者さんは、あれ!と驚きながら感謝して下さいましたが、私は私の怠慢でこのような目に合わせたことを申し訳なく思いながら「すみません、早く気づかなくて。今日ようやく気がつきました」と言うのが精一杯でした。

思い込みや決めつけが、患者さん状況の改善に役に立たないどころか、症状を悪化させてしまうことがあることを、私たちは常にその可能性を心に留めておがなければならないとしみじみ感じました。
そしてそれは、治療だけでなく、様々な場面で誰かのせいにする前に自分のやり方や考え方に疑問を持ち続けることが大切だなと感じた週末でした。

齢50。ようやくこのような事に気づけるチャンスが巡って来ています。

衰え行く身体だからこそ、心の柔軟さを失わず歳を重ねていけたらこれほど幸せなことはないのだろうと思います。
どうぞよろしくお願い致します。

他動運動のやり方と寝返り介助について実技の練習

今週は、入院されていた患者さんが何人か退院して来て下さいました。
もう在宅復帰は無理かと思っていた「ばあちゃん」も元気に帰って来てくださいました😍

春が近づいているのでインフルエンザもそろそろ収まりを見せているように思います。代わりに黄砂が襲い始めました😭

昨日の夜は、スタッフミーティングでした。
他動運動のやり方と寝返り介助について実技の練習をしました。

今までも何度も練習をしてきた基本動作ですが、新人スタッフがなかなかうまく出来ていないようなのでみんなで復習をしました。

最近わかってきたことは、健常な人に対してはうまく出来るのですが、障害のある身体となると相手の状態に合わせられなくなるようです。

それで、うまくいかない患者さんの身体になりきって(手足の状態を真似して)交代で介助や他動運動をするようにしました。

膝を内転して(両方のつま先かつく位置)膝にロックをかけた状態の下肢を他動的に曲げたり伸ばしたりする方法を練習しました。

膝にロックがかかっていても、膝裏から適切な方向に押せば、簡単に曲がるものです。膝カックンの原理を使うわけです。そうして、関節の動きを誘導していくと筋肉もほぐれるので、治療としてはとても大切な事なのです。

しかしやはり新人スタッフは、関節の動かす方向や、力のかけ方、引っ張る位置などがうまくいかないようでした。

私としては、わかっているだろうの前提で説明しているつもりが説明になっていなかったことを反省しました。

また動かす側だけでなく、
患者さんの中で起こっていることが理解できていないと、
患者さんになりきることは出来ないので、患者さんの理解を深めるにも大切なことなのです。

治療成果がうまく出ない時、歳だからとか、中枢性の疾患だからとか、患者さんの中に理由を見つけて、漫然とルーティンに施術しないように気をつけています。

同じようにスタッフがうまく成果を出せない時、一から考え直すことの大切さを改めて感じました。

また、スタッフにとっても、ほんの小さなことですが、大きなヒントを得てくれたようでみんながいい笑顔で帰ってくれ嬉しい夜となりました。

建仁寺で特別展のポスター。中には入らなかったけど、ポスターだけでも綺麗だなあと思って帰ってきました。こういう時は京都のすごさを改めて感じます。

祝!小平奈緒選手 金メダル! 筋膜リリースやアナトミートレインの実践

平昌オリンピック、女子500mショートトラックで金メダルを取られた小平奈緒選手は、全てにおいて研究を重ね、金メダルを目指して来られたそうです。その求道者としての姿に深く感動と尊敬を覚えます。本当におめでとうございます。

報道の中で、小平選手が解剖学まで学び、筋膜リリースの方法論のアナトミートレインを実践されて来たとありました。

▼小平の強さ、自分の体を熟知しているから 清水宏保(朝日デジタル・有料記事)
https://www.asahi.com/articles/ASL2L33XBL2LULZU003.html

無敵の強さを誇る金メダリストが、その拠り所の一つにしていたことに、筋膜リリースやアナトミートレインの効果の高さが実証されたようで、筋膜リリースの治療師にとっては、とても嬉しい知らせです。

アナトミートレインというのは、簡単に言うと、筋肉を解剖学的に分離した一つ一つ動きを中心に考えるのではなく、身体の動きを中心に一つらなりの働きを持つものとして捉えて治療していく考え方の基礎理論のことです。

東洋医学における経絡とよく似た走行のものもありますが、気血の運行ではなく、解剖学的な考えを基礎に持つものだと言われています。

私的には、筋膜リリースは、按摩術の中にあるものと、ほぼ同じで、按摩術の熟練の先に、経絡経穴を感じる道があり、そこに鍼灸治療による内科的治療があると考えているので、やはり、解剖学的に発展してきたこれらより、3000年の歴史を持つ、東洋医学の方が奥が深いようには思います。

ただ、この東洋医学というのは、熟練した技や目に見えないものを感じる力が必要なので、広く受け入れられにくいというのが現状なのかなとは思っています。

しかしながら、アナトミートレインや筋膜リリースなど、アメリカを中心したマヌュピレーションmanìpulátion(手技療法)の本には、必ず施術者だけでなく、被施術者の身体の感受性を高めることが何より大切だと書かれています。

結局のところ、洋の東西にかかわらず、解剖学的な分析よりも、感じることが、健康な肉体の基本なのだと言うことじゃないかと思います。

私たちは、素晴らしいものを受け入れつつも、アメリカから輸入された流行りに飛びついてばかりいないで、四季を感じ、繊細な感受性と肉体を持つ日本人が作り上げてきたことを大切にしていけばいいんじゃないかなと思います。

2018京都マラソンのマッサージボランティア

今年も京都マラソンにマッサージボランティアとして参加してきました😀

毎年参加させていただいていると、なんだかいっぱしの関係者のような気分になるのです。市長の労いの訪問も嬉しい気持ちになります。

会場準備中、桝本京都市長登場

ランナーがゴールされるまでの時間を顔馴染みになった鍼灸マッサージの先生方と雑談しながらまったり待つのが好きです。

それから第1号のランナーが受療に来られた時に、全員が緊張感を持つ瞬間も好きです。

6分という制約の中で来て良かったと思っていただけるようにと意識すると、普段の仕事とはまた違う緊張感があり、毎回が真剣で、手を抜けませんし、慣れる間もなく、自信も持てません。

「あー気持ち良かった」と言っていただけるとホッとします。

私が施術しているところ

今年は鍼灸マッサージを合わせ、900名の方の施術が出来たそうで、とにかく満席の待ち合い席を見ながら施術したからか、クタクタで、終わった時にテキパキ動くことが出来ませんでした。

歳には勝てないということかもしれません。とにかく疲れました。
ランナーと話すこともほとんどありませんでした。手は動いても口まで動かす気力がなかったことと、耳が少し遠くなってるように思います。ザワザワした中では顔を近づけないと聞き取り辛く、時間がもったいなくてなかなか話を振ることが出来ませんでした😩

それでも印象に残ったことが二つあります。

一つは、50歳のランナーの方のお話です。
特に辛いところをあらかじめ記入していただくのですが、その方は、背中だけしか、記していませんでした。
「マラソンは、背中だと思うんです。老化したら背中が丸くなるでしょう。マラソンも一緒だと思っています。背中を伸ばして走ったら脚は平気です。40からマラソンを始めて、体重が20キロ落ちて、健康になりました。今は年間15回くらいマラソンに参加します」
とおっしゃいました。脚は何の張りもなくつきたてのお餅のようでした❣️

もう一つは、中国から来られた32歳の男性のお話です。
日本が大好きで、何度も来られているそうです。どこがそんなに好きかお聞きしました。
どこのお店も店員さんの対応が丁寧で親切なところだそうです。
なんだか笑っちゃいました。
他のいろいろなところ、多分多くの日本人が世界に誇れると考えているところ、ではなくて、店員さんの丁寧な対応が日本をお気に入りに思う理由になるなんて!Heart to Heart が人間の基本なんですね。

この外国人の方との会話ですが、マッサージ専用に通訳ボランティアの方々の協力もあるのです。

最後に、今日最高に気分が良かった出来事は、尊敬する治療院の先生が、うちのスタッフを真面目で素晴らしい「うちに もらいたい」と言って下さったことです。

自分のスタッフを褒めていただけることがこれほど嬉しいとは!
もちろん当の本人も上機嫌で今日一日を自信たっぷりで施術に当たれたと思います😆

スタッフたちと

こんな風に、何かと楽しいマラソンマッサージボランティアですが、事前準備を緻密にこなして下さる京都府鍼灸マッサージ師会の先生方の御尽力のおかげです。
本当に様々ありがとうございます。

来年もまた楽しく参加出来たら嬉しく思います。

若い鍼灸マッサージ師の先生方!来年は是非とも助けに、楽しみに来てください。よろしくお願いします。

▼昨年2017年のブログ記事
京都マラソンボランティアマッサージ
https://www.yukicure.com/2017/02/21/kyotomarason/

嬉しい京都マラソンボランティアのアンケート
https://www.yukicure.com/2017/05/19/kyotomarason-2/

6分では足りないとだろうからと、セルフケアの道具を持って来られたマッサージ師の方もおられました。
木の道具は手作り。木の温かみがいいそうです。
帰りの景色がとてもキレイでした。

健康体操の話で私の”クドクド説明したい病”も一皮むけました

昨日は、稚松学区 くつろぎ広場で、健康体操の話をさせていただいてきました。

稚松くつろぎ広場は、六条院小学校跡地にある交流会館です。枳殻邸の近くにあります。

お元気な20数名の高齢者の方が来られていました。
このくつろぎ広場は、毎月開催されていて、月替わりで、様々な取り組みをされているそうです。
今月は、小学生と交流する予定だったのが、小学校でインフルエンザが流行しているため、急遽私が話すことになりました。

参加される方は女性が多いとお聞きしていたので、頭と顔のセルフケアの話をしようと考えました。
というのも、多くの寝たきりの方は、頭の血行が悪く、その血行の悪さは、目でみてわかるくらいの変化が頭皮や頚部に現れています。つまり、逆に言えば、頭皮の血行を良くしておくことは寝たきりの予防になると考えているからです。

それで、そう考えるに至った経緯を具体例を交えながら自分でできる簡単なケアの話をさせていただきました。

参加された皆さまが、真剣に聞き、また一緒に身体を動かして下さり、終始和やかな雰囲気の中で、話し終えることが出来ました。

おかげ様で、話し終えた後に、主催者の方から、とてもわかりやすく良かった、また別の機会にお願いできるかと言っていただきました。

実は、事前に作ったレジメに責任者の方からダメ出しを出され、資料を作り直したおかげで、よりわかりやすくうまく話すことが出来たと思います。

事前に作ったものは、字が小さいし、もっと具体的にわかりやすいものがいいとご指摘いただきました。

このブログもそうですが、私は、文字にすると簡単な答えだけでなく、「理屈」を説明したくなります。わかりにくいだろうとは思っていたけど、実際は口と実技で補えばいいと思っていました。

ご指摘いただいたことがもっともすぎて、自分のアホさに嫌気がさしながら、「くわしく正しく伝えること」より「わかりやすく、家に持ち帰り、もう一度見たくなるもの」を目指して作り直しました。

そこまでシンプルにすると、やっぱり自分の理解が足りず、あやふやなことを人様に伝えていいのか、きちんと伝えたいという気持ちが湧いてきましたが、
「ダメ! 史上最大のぺてん師気分(そのくらいの気持ちにならないと”クドクド説明したい病”がでる・笑)で、参加された方が、毎日続けていきたいと思えるようするのが大切!」

例え、詳細なところの説明が足りなかったとしても、話の中身は臨床から得た本当のことです。自信を持って作ろうと手書きのレジメに変えました。

その結果、資料を含めてお褒めにあずかりすっかり幸せ気分になりました。
おかげで、私の”クドクド説明したい病”も一皮むけたように思います。

本当にありがとうございました。

よかった❣

 

通りを挟んだ反対側にあるゲストハウスのディスプレイ。ステキ❣