気がつくと、もう7月も終わりに近づいています。暑い京都の祇園祭が終盤に差し掛かってきました。
本当に長い時間、何の発信も出来ずに時間が流れてしまいましたが、この2023年は、石橋が折れるまで叩かないと前に進めないわたしが、時には橋を作りながら、時には飛び石を飛びながら川を渡る状態が続いていて、2023年7月になり、ようやくブログでご報告ができる余裕が生まれてきたところです。
というのも、悠生治療院をはじめて今年で11年目になりますが、実は、昨年より、前職から一緒に働いてきたスタッフ2人がともに退職することが決まっていて、求人を出していましたが、ひとりも応募がない状態でした。
私のこの10年の歩みを振り返るにつけ、反省することばかりが浮かびました。前の治療院から助けてくれた2人が辞め、求人の応募もない。そうであれば自分一人で仕事をする時がきたのだと、一人でできる治療院運営に切り替えようと決断しました。
ただひたすらに、自分の仕事を楽しもう。自分に集中しよう。
患者さんと過ごす時間が一番楽しいのは、この仕事を始めた時から今も変わりません。その気持ちを大切にしていたら、恐れることは何もないと自分に言い聞かせました。するとなんでもうまく出来そうな気持ちになってきました。
あとは、一人では回りきれない患者さんを引き継いでくださる方を探すだけです。長い悩みの中からようやく光明をみつけ、悩むことはもうないと少し気持ちが楽になれたのが、今年に入った1月のことだと記憶しています。
そうして、そこに向かって動き始めたら、全く予想外のことが次々と起きて……一人でするはずが……
5人のマッサージ師の先生方と一人の事務員さん、そして私の7人で、悠生治療院を再スタートすることになったのです。
この5人の先生方は、それぞれにご自分の治療院の仕事をしながら、空いた時間に悠生治療院の仕事をお手伝いしてくださっています。ですから、5人いるといっても、関わりが少ない先生方もいらっしゃいます。しかしながら、みなさんそれぞれに私にはない力をお持ちの方ばかりで、私の力不足でうまくいかなかったことも、この5人の力を貸していただく事で、今まで以上に患者さんに返せることが増えるのではないかと考えています。
先生方をご紹介すると、一人は、前職が障害者支援センターの相談員という経歴の持ち主です。視覚障害のため、相談員の仕事が厳しくなり、鍼灸マッサージ師の資格を取得。この業界に参入されました。鍼灸マッサージ師としての経験は長くないものの、とにかく人の話を聴くのがとてもうまく、私自身も話を聴いてもらったときなど、マッサージ師を雇ったのかカウンセラーを雇ったのかわからないと思う時があるくらいです。相手に合わす能力の高さは、施術にも反映されていて、患者さんの状態を受け止め、正確・丁寧な施術をしてくれるので、患者さんからは心身ともに癒されるとおおむね好評をいただいております。
別の一人は、機能訓練デイサービスや整形外科や温泉併設のマッサージ治療院での勤務経験を持っています。彼は、大きな身体で力強く、そして柔らかくほぐすことのできる腕の持ち主です。私のほぐしきれない硬い筋肉も軽くほぐしてくれるので、彼が来てから、今まで固くて苦戦していた筋肉について、彼の助けを借りることで、深く解せるようになりました。また、療養中の人を元気づけることを大切にしてくれていて、『こんにちは、高倉健です』など、私なら照れて絶対言えないような事を言って患者さんの心をほぐしています。
また別の一人は、私がマッサージの専門学校に通っている頃からの仲間で、かつ前職場の同僚です。
同じ考えの下で、訪問マッサージの基本を学び、長い時間話し合いながら仕事をともに続けてきた彼は、悠生治療院の訪問マッサージのサポートとともに、道からはずれそうな私を離れたところから指導してくれる頼もしいサポーターとして大活躍してくれています。
後の二人は、スタッフのやりくりがうまく行かなくて困り果てていた時に、短期でのお手伝いをお願いしたら心よく引き受けて下さった方々です。短期間の約束が終わる頃、患者さんが同じ施術者を希望されたため、そのまま継続してお手伝いただけるようになりました。二人のうちの一人は、気遣いの達人で、どんな人に対しても相手の様子を伺いながら、知らない間に相手の懐に潜り込んでしまうという特技を持って、相手をリラックスさせる天才です。この技に私もイチコロ、会ったその日にトリコになり是非ともとお願いした次第です。もう一人の方は、かつてトライアスロンの選手だったらしく、ご自身も身体を動かすことが得意で、マッサージ師としても患者さんの身体を動かすこともとても上手です。私が長年かけてどうしても伸ばすことが出来なかった膝関節を前の足の形がわからなくなるくらいするりと伸ばしてくれてびっくり。身体を動かすことを必要とする方に全員助言をいただきたいくらいです。
このように様々な個性を持った人材に恵まれ、悠生治療院を再スタートさせることになりましたが、パートさんばかりで、レセプトなどの書類の記入の分担をしてもらうには、時間的にも難しく、私が一人でするには、私の負担が大きくなりすぎる。仕事を減らして事務仕事に時間をかけようかとも考えたのですが、それよりは、視覚障害の方のドライバーと兼任で事務員さんを雇う方がよいのではと思い、以前から知る元患者さんの娘さんに声をかけたところ、心よく引き受けてくれたので、事務員さんを雇うという「大冒険」に乗り出しました。
この仕事についてから、事務仕事は、みんなで分担、マッサージ師が担うのが当たり前という感覚でやってきました。それはそれほど多くない事務量であることや保険点数が高くないので事務員さんを別に雇うと言う事が難しいからなのですが、私の体力もそろそろ下り坂、無理が効かない年齢に差し掛かってきたので、自分の取り分を減らしてもいいから、マッサージに集中できる環境を整えていくことが大切と決断しました。
6月からきてくれた事務員さんは、とてもお片付けが上手で、悠生治療院の家具のコーディネートもお願いした人です。ですから仕事の隙間をみては、散乱している物たちを片付けて、いまでは、見違えるように事務室をきれいにしてくれました。
事務仕事の移行はいろいろあり、スムーズにいかないと感じることもありますが、今まで一人でしてきたことを代わりにしてもらえているので、こんなふうにブログを書こうという心の余裕が生まれたのが儲けものです。そのことに感謝し、うまく機能していけるよう頑張っていきたいです。
この10年、夢中で突っ走ってきましたが、訪問マッサージのやり方も、自費治療のスタイルや宣伝方法そして事務仕事も、従前のやり方を変え、次のステップに踏み出ことを期待されているのだと考えています。
「このまま小さく細く生きていくには早いぞ、もう少し前を向いてがんばれ。」と叱咤激励してくださった、いまは亡き患者さんたち(神様ともいう)が私を導いてくださったと思えるからです。一人で運営するスタイルを作ろうとしたにもかかわらず、「様々な仕掛け」に翻弄された挙句、6人ものスタッフと縁をいただけたのは神様からのプレゼントだと喜んで受け入れ、これからも前を向いていきます。
この新たな取り組みが実を結び、患者さんはもちろんのこと、スタッフにも喜んでもらえる仕事を作っていきたいと考えています。
様々な経歴・個性を持つ今のメンバーが力を合わせれば、どこにも負けない治療院になれるのではないかと思っております。スタッフ一同一丸となって頑張りますので、みなさまどうぞ新しい体制に期待して、お仕事に縁がいただけるよう宜しくお願い致します。