本当はうまくいったことより、うまくいかなかったことの中にこそ、次への大きな「飛躍」の鍵があるように思いますが、施術のこととなると、「失敗した話」を誤解を恐れずに伝えるのは難しいように思います。
でも、本当は、私の日常は、施術の内容も関係性もガッカリすることの連続です。
このブログに書いているのは、そんなガッカリした気持ちの中で、活路を見出したいと、もがいている私に起きたステキな出来事の話です。
(ですので私のリアル仕事を知っている人から、ブログ見たよとか声をかけていただくと、はずかしくてドキドキしていたりします)
治療の方法論に関してはこれでいいと思っても、次の瞬間には奈落の底に突き落とされるようなことの連続です。
そんな時は、自分の考えの足りなさ加減、手技の下手さに本当にガッカリしますが、仕事を続けていく限りは前を向いて進むより他に仕方がありません。
ことに、自費治療の方の場合には、見通しの立て方や説明の甘さが私の課題であることを強く実感する日々です。
保険治療に関しては、計画的な訪問が可能なので、方針の間違いをその都度修正しながら関わり続けることができます。毎日の仕事が即、患者さんの身体を「師」として、勉強させていただいているようなものなのです。
しかし自費治療はそういうわけにはいきません。一回のミスが次の仕事の機会に影響を及ぼしていきます。
自費治療も保険治療で得た経験を元に、主訴の改善を一番にし、リラクゼーション的要素やその満足は第二に考えるように自分の中で徹底していきたいと考えるようになりました。
自信のなさがそれをうまくいかせずにきましたが、どっちつかずの中途半端な結果のほうがよくないはずです。
そんな中で、先日治療させていただいた方は、手指の痺れを訴えておられました。
整形外科の医師からは、頚椎の変形からきていると説明を受けたとのことですが、今は手術の適応ではないようでした。
マッサージ師の習わしとして、つい肩や腰の「コリ」も楽にしてあげたいと考えてしまいます。
しかし、頚椎に問題がある場合、施術により緊張を緩めることで、自分で作っている肩背部のコルセット(つまりコリ)を緩めてしまい症状を悪化させてしまう危険性をはらんでいます。
骨盤・腰部脊柱の彎曲を改善することで、緩やかに時間をかけて頚部にまで影響を及ぼしていくことが肝要です。時間をかけることで、頚部の筋力が自ら正しい方向に進んでいくからです。
その日に症状を改善することが求められてしまうように思いますが、時間をかけていくことが大切なことであることを理解していただくように伝えなければなりません。
今までの私ならどっちつかずで、刺激量を調整できず、手の痺れの治療とともに、肩こりなどの疲労の回復にも手を出してしまっていたように思いますが、今回は手指の痺れというデリケートで、重症化させてしまう危険をはらむ症状だったこともあり、基本に忠実に下肢体幹の調整を中心に施術できました。
すると施術後は、一目でわかるほどに、脊柱の状態が改善し、自分でも驚くほどの変化となりました。
もっとも、この方の場合は、日常的に肩こり疲労の回復にマッサージ治療院に通われていたようで、基本的に筋肉が凝り固まっていなかったため、深部の筋肉を整えることで、変化が現れやすかったのかなとは思います。
通われているマッサージ治療院は、この辺りの方には評判のよい治療院で、まさに評判通りだったわけです。
そして、患者さんは、症状の目的に合わせて、通う治療院を選択されているのだということもわかりました。この方は定期的に通われている治療院が嫌なわけでは決してないのです。
施術師としては、オールマイティに身体の問題を解決できる人という信頼を得たいと思いますが、それとこれとは同じではないと身をもって知ることができたのも大きな収穫でした。
治療は始まったところです。
痺れの改善は痛みの消失よりも難しいというのは、この業界の(西洋医学を含めて)の定説なように思います。
いただく対価に見合った仕事ができますように。
最後は神頼みですが、神様が微笑んで下さるのは、たゆまぬ努力の賜物だと思っています。