日曜日は、京都府鍼灸マッサージ師会の総会がありました。
会の活動に、多くの協力はできていませんが、せめて総会くらいは参加しようと思って参加してきました。
質疑応答の時に、会員の方から、訪問マッサージについての質問がありました。
現場で起きている困り事に、会としてどう対応してもらえるのかという質問でした。
その方が話の中で「昨年の田中美香先生のような訪問マッサージに力が湧いてくるような話をして欲しい」というような趣旨のことを言って下さっていました。
総会のような場で、私の名前が出てくるなんて思ってもみなかったので、うれしはずかし、びっくりでした。
私の言葉が、聴いてくださった方の、記憶にとどまり、何かしらの役に立てているなら、本当にうれしいことです。
こんな風に私の話が力強く感じるとすれば、それは、私がマッサージの力を信じているからじゃないかと思います。
マッサージが、本当に様々な力を持った素晴らしい手技だという思いは、年を追うごとに確信に近づいています。
マッサージは、痛いところに自然に手を当てるというような、何の道具も必要としない、誰でもが出来る手技であるが故に、また、コミュニケーションの大きな役割を果たすという側面があるが故に、身体の治療にかかわる様々な場面で、様々な職種の方が用いることが多く、特別な技術を必要としないと勘違いされることがあるように思います。
在宅医療に関して言えば、そこに関わる全ての職種の方が、なでる・さするを含め、マッサージ施術をされます。
理学療法士の先生はもちろん、看護師も、歯科衛生士も介護士さえも、目的を果たす手段にマッサージをされているのを目にします。
そんな中でマッサージを専門とする私たちは専門家にしか出来ないマッサージをしていかなければならないと思います。
まだマッサージを始めた頃、勤め先の院長から、
「鍼灸マッサージ師は、痛み治療に対し、鍼灸に逃げることが出来る。マッサージ師の資格しかない施術者は逃げ道がないからこそ、マッサージの腕が上がる」と言われました。
私はこの言葉を心の支えに、逃げずに、諦めずに、筋肉と向き合い続けてきました。
最初の頃は、変形したり、拘縮した膝の中や、その周囲でどんなことが起きているのかさっぱりわかりませんでした。本を読んでも全くわかりません。じっと観察しても、全くさっぱりわかりません。
ある時手を当てると、その下で動く筋肉の様子がわかることに気がつきました。
それからは、立ち上がりや自動運動をしてもらう時、両手で膝を包み込み、どの筋肉が働いているのかを”観る”ようになりました。
マッサージをした後の動きの変化や、どの部位をマッサージしたらどう変化するか、あるいは、立ち上がり方によってどの筋肉が動くのか、何度も何度も確認させてもらいました。
患者様は、うんざりだったかもしれませんが、私のあまりに必死な態度に、皆様嫌がらずにお付き合いして下さいました。
そんなことを始めて15年くらいが経ちました。そのおかげで、今では身体の動きと、筋肉の収縮の関連がある程度わかるようになりました。
身体の歪みを調べたり、病歴を聞かなくても、筋肉の状態からある程度のことがわかるようにもなりました。
まだまだ毎日発見の連続ですが、それもこれも、私にはマッサージしかないという覚悟のおかげじゃないかなと思います。
皮膚の下にあり、眼には見えない筋肉を治療するのは簡単なことではありませんが、私たちマッサージ師は、マッサージを業としてすることのできる唯一の国家資格者です。
諦めずに筋肉と向き合っていきたいと思います。
その先には、 必ず、単にマッサージを一つの手段として行う職種の人たちとは、一線を画する資格者の道が開かれていると思っています。