「その靴いいなあ。どこで買ったん?」
安い靴ですが軽くてバラの模様が入っておしゃれだなと思って購入しました。
けれど、少し小さかったようで、履いていると足底腱が炎症を起こしたので、履くのをあきらめて、もしよければと患者さんにお見せしました。
いつも私の靴を褒めて下さるし、趣味が合うようだからです。良ければ履いてもらうつもりでした。患者さんは喜んでもらって下さいました。
そしてデイサービスに履いて行ったところ、他の利用者さんから、
「いいなぁどこで買ったん」
と聞かれたから
「私の一番大切な人がプレゼントしてくれたから、どこで売ってるかしらんで」
と答えて下さったそうです。
一番大切な人と言ってもらうとは、照れてしまいますが、そんな風に言っていただけるようなことはなにもしていません。
ただ、身体を楽にするということは、心も軽くなるということなのだろうと思います。
またもう一つ私がとても気をつけていることのおかげかなと思います。
それは、患者さんを、「障害者」や「老人」という枠に入れないように、人生を長く生き抜いた歴史を持つ唯一無二の存在として接するようにしていることです。
効率よく介護を受けやすいようにマネージメントを受け(点数や内容に縛りがあるから仕方ないのですが)、寝たきりにならないようリハビリをするべき対象ではなく、
例え、そうするしかないとしても、その心のうちにある気持ちをそのまま拝聴し、ジャッジしないようにしています。
それが、自分をありのままに受け止めてもらっているという安心感につながり、「一番大切な人」という表現をしてくださったのかなと思います。
人間が人間らしく生きるために必要なのは、美味しい食べ物と心地よい空間、清潔な環境だけではなく、やはり、愛と自分の尊厳が守られていると感じられることなのだろうとしみじみ思う今日この頃です。
ついつい自分の仕事がしやすいように相手を理解しがちですが、このお褒めの言葉を胸に刻み、いつも利用者主体でいられるよう頑張りたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。