救急搬送の判断について

先日訪問した時に、患者さんの様子がおかしく、結局救急搬送をすることになりました。

何度目かの経験ですが、なかなかなれません😭

呼吸数、脈拍、血圧、血中酸素濃度、体温のバイタルチェックの他、意識レベルも大切な観察ポイントです。

私は普段、血中酸素濃度を測定する器械だけ持ち歩いています。3×2cmくらいの小さなもので、持ち運びに便利だし、手指の先に挟むだけで呼吸状態が測れるので、緊急か否かの指標にとても便利なのです。またこれは脈拍も測れます。

パルスオキシメーター

ただ、この器械は、手が冷たいと正確な数値が出ないことがあります。脈拍は自分の手でも測れるので、この器械の脈拍と触診による脈拍の数値が近ければ血中酸素濃度も正確に測定できていると考えるようにしています。

この方は、訪問時、呼吸が苦しそうに見えたものの、呼びかけに反応があり、眼も合い、ちゃんといつも通りの反応がありました。
血中酸素濃度を測ると95%〜93%でした。これは、少し低いものの、許容範囲です。90%を切ると危険,正常値は95%以上です。

しかし、胸郭が動いていなくて、呼吸が出来ていないようにみえました。口の中を見ると、飲みものと痰が絡んだようなものが引っかかっていました。
痰が気道に絡んでいて息苦しいのかなと、とりあえず口の中を口腔ケア用のスポンジで拭き取りましたが、様子は変わらず、ますます苦しそうな様子に見えました。そして、血中酸素濃度は、90%を切ってしまいました。
そうこうするうちに発語もできなくなってこられたのです。

一刻を争う状態になってきたことはわかっていても、救急車を呼ばなくても、引っかかっている痰さえ動けばなんとかなるんじゃないかと考えました。そういうことが度々あるからです。

痰がでるように、胸郭を動かしますが、血中酸素濃度はあがりません。

だんだんと私も冷静さを失い始めました。上のフロアにはご家族がいらっしゃいましたが、呼んでも聞こえないのか返事がありません。呼びに上がる前に訪問看護師さんに電話をしました。
ご家族と相談して、必要なら訪問すると言われたので、ご家族を呼びに行きました。

ご家族は、看護師さんに見てもらってから救急車を呼びたいと言われます。

みんながこんな風に考えるのは、普段から呼吸状態が良くないこともあり、反応が低いこともあります。それでいつもと違うと断言出来ないからなのです。

そうこうするうちにどんどん顔色が悪くなって、唇は真っ白です。ご家族も普通ではないとわかってはいても、決断するのをとまどわれているようにみえました、
もう猶予はないように見えました。「救急車を呼びましょう」とご家族に言いました。

それから5分足らずで救急車が来てくれました。

救急隊員さんは、酸素マスクをつけた後次々とバイタルチェックをしていかれます。
患者さんは、酸素マスクをした後、息を吹き返したように声を出されました。

血中酸素濃度は91%。呼吸数18。体温36.2分。
眼は光に反応あり。
握手して「わかったら握って下さい」と左右で確認。「握り返せてます。麻痺なし」

バイタルチェックは全て正常範囲でした。意識レベルも呼びかけに応じることが出来るレベルでした。

酸素マスクのおかげで、正常範囲に戻ったように見えました。わたしは、見た感じ、眼も合わないし、血中酸素濃度を測っていた手も指が曲がり測れなくなったので、脳がどうにかなってしまったのかと思いましたが、苦しかっただけだったのです。

救急車を呼べて良かったとホッとしました。

その後、病院での診断は、肺炎という事でした。

私は、患者さんの身体が触った感じが、少し熱いなと思いながらも、高熱ではなかったので、肺炎を全く疑いませんでした。だからとにかく痰が詰まっていると思い込み、これさえ動けば病院に行く必要はないという考えから、救急車より痰を動かすことばかり考えていたように思います。

でも、きちんと数値を測ることで他の状態についても客観的なデータとして看護師さんに伝えることも出来たのに、ほとんど家族さんと同じレベルでうろたえていた自分を情けなく思いました。

ただ、結果的にはもう少し遅ければ亡くなられていたかも知れないので、「でかした」と友人の看護師さんからは褒めていただきましたが、今回は、最初の状態から、次第に悪化していったことが私の混乱を大きくしてしまったように思います。

こういう時は、本当に怖くて焦ります。
しなければならないことを紙に書いていつでも取り出せるようにしておけば、もう少し冷静に対応できるかなと思いました。

何はともあれ良かったです。
早くお元気になって退院されることをお祈りしています。

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