闘争心と自信

本格的な冬がやってきました。
空気が冷たいと心が引き締まる気がしますね。

先日、患者さんが、ホノルルマラソンの最後の調整にと、フライト当日の朝に来院されました。

数日前に、鍼治療で整えたのだけれど、最後の最後にマッサージが必要だと身体の声が言ったのだそうです(笑)

3時間以内という目標を掲げる彼女の肉体は、しなやかで無駄がなくとても美しいです。
彼女の肉体に合わせ、私の手はするすると動きます。その肉体には、わずかなクセも如実に現れていて、それを解いていく作業はとても心地よいものです。

以前に、脚が重いと来てくださった時より、さらに身体が絞れて美しくなっていらっしゃいました。

脚が重く感じるとすれば、平地でのトレーニングは、どうしても重心が遅れがちになり、従重力筋優位になりがちだからではないかと話をさせていただきました。

それから彼女は、毎日坂道トレーニングを続けられたそうです。

マッサージ中、彼女はマラソンについて話をしてくれました。

一人で練習をするのと、レースで走るのは気持ちが全く違う。
レースとなると、前を走る人を見ては、ここでは負けていられない、もっと抜かないとなど、心が平静ではいられない。闘争本能のなせる技かなと言われます。

学生時代は、ウエイトリフティングをされていたそうです。
ウエイトリフティングをする時には、ほんの少しの迷いや不安があると挙がらないし、怪我をしたりするのだそうです。
それで、試合となると、心の中で審判に向かって
「おまえら見とけよー」という気持ちになるのだそうです。こんな傲慢な自分がどこからやって来るのかと不思議なのだと話しながら笑っていらっしゃいました。

それから、また、マラソンは沿道の応援があるからこそ、最後まで頑張れる。一人では絶対無理だとおっしゃっていました。

私は、これらの話にとても考えさせられました。

闘争心と自信。
どちらも日本人的理性では、表面には出さない感情じゃないかと思いますが、
生きていく上では、どちらもとても大切な感情なように思います。

プロフェッショナルな自分になるには、自分にも、素人にも、同業者にも負けたくないという闘争的な心や、技術を我が物にしたいという欲、自分を信じる力が必要で、それこそが自分の限界を超えるパワーの源になるのかなと思いながら聞いていました。

それから。沿道の応援なしには完走出来ないなんて‼︎
誰かの応援が自分の限界を超える力を支える大切な力になるのだなぁとしみじみ”誰かの励ましの力”に感じ入りました。

私たちの仕事は、実際にどれくらいお役に立てているか数字で表れるものではないので、最後はいつも不安がつきまとうのです。

でも、身近で応援し続けることだけでも、力になるのだとしたら、治療の後の、毎回毎回の「頑張って下さいね」の言葉がけも意味があるのかなぁとなんだか救われた気持ちになりました。

自信を持って、負けずに、寄り添い続ける事を頑張りたいと思いました。

この方が、ホノルルマラソンで、本能全開でベストタイムがだせますように。

私もまた、本能全開で、日々是精進できますように。

ブログに書いた方とは別の患者さん(90歳)がつくられた手作りトンボ。
器用に几帳面に作品を作られます。歳に関わらないやり方に脱帽です。

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