患者、呼び方

気がつくともうすぐ11月も終わりです。

紅葉🍁が見頃を迎えている京都の街には大勢の観光客が訪れています。
こんな京都にいて、私は仕事の移動中にみる小さなお寺や神社、大学や街路樹の紅葉に心癒される毎日です。

先日、知り合いの方が「患者様」という表現についての’17.10.12 週刊新潮の記事を紹介して下さいました。
『医の中の蛙』里見清一氏の記事です。


「患者さま」何様
と題されたその記事には、
患者さま撲滅運動を始めて、この汚らしい言葉と戦って10年近くになるが、戦局は芳しくない。と始まります。

この言葉は、2001年に厚生労働省が「患者の呼称は『さま』を付するのを基本とすべし」という通達に始まったそうです。本来の通達は、「患者の◯◯さま」という趣旨だったのが「患者さま」として広がったのだそうです。

そもそも「患者」という言葉自体が悪い印象のある言葉なので、「さま」をつけても敬うどころかおちょくったようにしかならない。

その上に、「患者さま」とは「お客様」の意味になるが、「患者」は、例えお金を払わなくても患者であり、消費者として扱うのは、志をもつ医療者としておかしい。

また、倫理的にもおかしい。医療者は、有限な医療資源をどう振り分けるかの判断をしなければならず、そこに「お客様」の出番はない。

それから、心理的にも「客扱い」された患者自身が「客」と勘違いし、医療に対する不満をぶちまけたり、治療に対する主体性を失う「客」になることは、本人が一番困ることになる。

のだそうです。
でも若い医療者の中にはこの言葉を当然のものとして受け入れている現実があるのだとか。
それでも里見清一氏は、「患者さま」を受け入れがたく奮闘されているようです。

ここに書かれていることは、全てが納得がいく、私の言葉遣いを考え直す必要を感じさせてくれるものです。

でも、老人医療の真っ只中にいる私は、
「どうやっても助からない」患者の訴えの多くが加齢によるものであるが故に、医療の対象になりにくく、でも実際にはビジネスの有用な道具になっている現実の流れに棹差すためにもあえて「患者様」と表現してきました。

もちろんそれは私自身への戒めも込めてのことです。

しかしながら、この文章に出会ったことだけでなく、他の様々な要因からも、訪問マッサージについて、自分自身の関わり・治療の軸・表現の仕方について、もう一度考え直さなければいけない時期に来ているのかなと思う今日この頃です。

ただ、なかなかいい表現が見つからないんですよね🤔

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