私の治療院に、脳性麻痺の患者様がいらっしゃいます。
とてもパワフルで、アクティブな方です。
小学校に行くことも出来なかったそうですが、ご両親の深い愛情に育まれ、障害をものともしない様々な経験をされたそうです。
60を超えた今も、買い物や旅行✈️に日々楽しく過ごされています。
そんな暮らしの中で、英語が話したくなったからと、英会話教室にも10年くらい通われていたそうで、海外旅行に行かれても、英語でのコミュニケーションに不自由はないそうです。
旅行先や外出先で、英語で話しかけても、相手にすぐ通じるとおっしゃいます。
けれど、私は、その方と話していて、話題が急に変わったりすると聞き取れない時があります。
申し訳ないのですが、何度か聞き返させていただくことも多々あります。
脳性麻痺の方は、緊張をうまく抜くことが出来ないために、発語するのにも力が入り過ぎて、発音が不明瞭になる方が多いのです。
それなのに、英語で話しかけて通じないことはないとおっしゃるのです。不思議に思って尋ねてみました。
「日本語と英語とどちらが話しやすいですか?」
「英語です。脳性麻痺の人は大概そうですよ」とおっしゃいました。
そうだったんです😵
脳性麻痺の方は日本語より、英語の発声に近い発声だったのです。
日本語は口の入り口近く、唇とその周辺で軽く発語する言語だと聞いたことがあります。
韓国語を習っていた時に先生が、韓国語や英語は発声自体に腹式呼吸があるので歌の上手い人が多いと教えて下さいました。
脳性麻痺の方は唇や舌を動かすことや呼吸に緊張を伴うので、いつも腹式呼吸になるので、英語の方が発語するのに近く、ネイティヴに近い発音になるらしいのです。
眼から鱗がおちるようでした。
日本人の多くは、街で突然、脳性麻痺の方に話しかけられたら、聞き取りにくくて、答えに窮するなんて場面は想像に難くありません。
なのに、英語で話したら、その場にいる外国人が難なく聞き取れちゃうなんて!
なんだかそんな場面を想像するだけで、楽しくなってきました。
パワフルなこの方は、今月末にも、介護のスタッフとともに、グアム旅行✈️に行かれます。
日本での話をしても聞き取ってもらえず、何度もいい直さなくてはならない日常のストレスから解放されて、ゆっくり楽しんで来られることをお祈りします。
ちなみに、脳性麻痺の方にリハビリをするのは、緊張を増強させ、症状を悪化させることもあるので、良くないと考える医師もおられます。
それほど、生まれついた時から、身体を動かすことに常に緊張を伴う方に、緊張をさせないように動作訓練をするのは困難なのです。
ですから、私の仕事は、いかに緊張を抜けるマッサージをすることが出来るかにかかっています。柔らかな刺激で全身の緊張を取り除き、リラックスした状態で四肢を他動的に動かすことで、四肢の拘縮の進行を食い止めるのが私の使命です。
まだまだ知らないことや、考えが至らないことがたくさんあります。
疾病や障害の身体に共感できる感受性をもっと育んでいくよう精進したいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。