スーパーレディーは東北出身、唄うまし

みなさまから励ましのお言葉をいただくだけで、気分アップです。
前回のブログを読んで下さって本当にありがとうございます。

ガッガリすることもいっぱいありますが、
訪問の仕事は何気ない会話の中で
それぞれの深い人生観を垣間見られることがあります。
日々の仕事の中でそういう経験ができる事は、
最高の贅沢だなと思います。

どの方の人生もそれぞれに教えられることが多いのですが、
中でも私の一番長いお付き合いの患者様は、
御苦労が多かったからでしょう、
どんな話しもサラリと笑いに変えて、
いつも私を笑わせて下さいます。

東北生まれのこの方は、
「おしん」顔負けの人生を送って来られたように思います。

親元を離れて、
子守ざんまいだった幼少期を過ごされたそうで、
流れ流れてたどり着いた京都でも、
京都に馴染むまでの苦労は言うに言われないとおっしゃいます。
その頃は苦しすぎて笑う顔が引きつっていたから、
鏡を見て笑顔の練習をしたそうです。

「笑顔がいいから話しかけやすいと
言われたことがあるけど、
これは練習した笑顔なんやで」
と笑って話して下さいました。

20年前に脊椎の疾患のため、
手足から麻痺し、歩行困難になり、
訪問マッサージを受けられるようになりました。
しばらくは歩いて生活できるようになっていらっしゃいましたが、
今は立つ事さえ難しくなってしまわれました。

しかし、
ベッドの上ではなんとか、時間をかけて、
必死に、自分の事をされています。
それでも、
今迄の苦労に比べれば、
食べる心配をしなくていい今の暮らしは
苦労の内には入らないそうです。

「お金がなくて、
毎日、毎日、団子汁しか食べられなかった時がある。
今は何でも食べられるのに、
身体が大変でたくさん食べられない。
こんなもんやなー」と
ポツリと呟かれることもあります。

慢性心不全をかかえた身体は、
「話していても苦しくなる時がある」とおっしゃるので、
「しんどい時は休憩したらいいんですよ」と言うと
「おばあが楽しみで話してるんやからいいねん」と
事もなげに言われます。

出来ないことがあっても、
なんとか、自分でやろうと様々工夫をこらしていることを、
行くたびに話して聞かせて下さるので、
私は彼女のことを、
尊敬の念を込めて、『スーパーレディー』と呼んでいます。

彼女も、
東北なまりで「すーぱーれでぇ」といいながら、
この方呼び名を気に入って下さっているようです。

スーパーレディーの彼女とは、
ワイドショーを見ながら、
ああでもない、こうでもないと話をしたり、
昔話を聞かせてもらったり、
たまには、
私のダメダメ子育て話を聞いてもらったりしながら
マッサージをします。

「辛くて、うまく行かなくても、
ちゃんと見る人は見ていてくれるから、
人に意地悪したりしたらあかん。
一生懸命真面目にしてたら、
必ずいい風になるから」と
話して下さる彼女の人生を見るたびに、
真面目に生きることの大切さをしみじみと感じます。

私の仕事は、
心疾患と四肢麻痺をかかえた身体が、
小さな力でも効率よく動くように、
関節可動域が小さくならないように
コンディションを整えることです。

それから、心臓の負担を少しでも減らすように、
血流を良くし、浮腫を軽減することです。

歳を重ねるごとに、
状況は厳しさを増してきているように思いますが、
毎回の訪問が少しでも彼女の役に立つように
がんばりたいと思います。
そして、
まだまだ長くお付き合い出来たらいいのになと思っています。

おらがの嫁っ子はでっぱりだ。でっぱりだら、ぼんだせ。ぼんだしたらあげまんまととっぽじるかーね。

うちの嫁っ子は不器用だ。不器用な嫁は追い出せ。追い出したら赤飯と豆腐汁でお祝いしよう。
という意味だそうです。

ヒドイ唄だけど、彼女にかかるとなんともユーモラスでかわいい唄になるように思います。

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