息子が小学校を卒業し、春休みで家にいるので、ついつい私も仕事より家庭モードで過ごしているうちにブログも更新できずに日が過ぎてしまいました。
ブログを書いていなくても、毎日毎日、当たり前に様々な問題が起きては解決の糸口を探すこともできないままに過ぎ去っていきます。
そんな問題の一つが、患者様の状態をスタッフ全体で、どうやって共有していくかということです。
ほとんどが患者様の家で一人でする仕事なので、可能な限り情報の共有をするようにしているのですが、患者様の身体状況を数値化することが難しく、スタッフ全員がいかに同じ眼でみるか、頭の痛いところです。
患者様の状態把握をどのように行うかというところからして慣れないと難しいのです。
それぞれの患者様の日常生活動作を中心に全体像を把握して、その上で、その患者様の在宅生活の生命線となる事柄にフォーカスして経過的に観察をおこなわなければなりません。
自費治療の場合は、患者様の訴えを中心に治療を進めて行けばよいのですが、訪問マッサージは、定期的で、計画的な治療を求められます。何より大切なのは、時系列的な患者様の経過観察と、早期にレベル低下を捉えて状態を維持していくことなのです。
例えば、廃用的に下肢の関節拘縮があるけれども、なんとか室内の歩行が出来ている、でも先々の身体状況に不安があるので、いつまでも動けるようにと、マッサージを依頼して下さった患者様に訪問をする場合のことを考えてみます。
日常生活動作の評価スケールは、自立・道具を使って自立・なんらかの助けがあれば自立・不可の4段階で評価していくことが一般的ではないかと思います。しかし、私たちがそれを維持することを目的とする場合、自立の中でも楽々自立から、なんとか危なっかしいけど自立という微細な変化を捉える必要があります。
起き上がりが楽々出来ているのに、歩行だけがスムーズに行かないなら、下肢の関節だけが大きな問題を抱えていると考えられます。
逆に起き上がりからしてぎこちない動作であれば、上肢や体幹にも問題を抱えていると考えます。
下肢の状態に問題がある場合は、立ち上がり動作のスムーズさや、そのための足関節の可動域、足趾の状態の把握がとても大切になります。
反対に上体に問題がある場合は、肩関節の状態や、脊椎の可動性などの状態もしっかり観察して置く必要があります。
大切なのは微細な変化を見逃さないこと、その変化と日常生活動作の状態との相関関係を把握し、状態を維持していくことなのです。変化を把握できるから、その改善の治療も可能になると考えています。
室内歩行の状態の観察、身体のパーツの状態の把握をしながら、老化や廃用的な身体状況の変化に抗い、状況を維持していくのです。
でも、その身体の中で起きている変化がわからなくて、転倒や痛み、足が出にくいなど患者様の訴えがあって初めて、身体の変化に気づくことがあります。
関節拘縮に傾きかけた身体は、浮腫がちになったり、皮膚トラブルや爪のトラブルが増えたり、一つ一つの動作に時間がかかるなど、指先で身体の中の変化を捉えたり記憶ができないとしても、視覚的にわかる変化を起こしてきます。
歩けなくなる前に様々な信号を見つけて治療することができます。
私の頭の中にはこれらが記憶の引き出しにしまわれていて、必要な時に自在に取り出せるようになっています。しかしながら、これらは、長年の訓練と経験の賜物です。この視覚、触覚に焼き付けた感覚を他の人と共有するということが、私に課せられた大きな課題だと考えています。
それでも、ついつい、自分の言葉足らずを棚に上げて、
「なんでわからへんのん? みたらわかるやん。ちゃんとみてる?!」
とうなってばかりいた先週の金曜日でした😭