俺は天狗の生まれ変わりやと思ってるからええねん。
息子の頭はちょっと歪んでいます。産まれた時はとても歪んでいて、周りの人から気にしなくても治ると言われたけど、15歳になる今も、結局ちょっと歪んだままになってしまっています。
あんまり気にしすぎないようにしてきたけど、先日、息子の手の指の付け根が赤く腫れて痛がるので、マッサージしていました。するとやっぱり頭が歪んで、首まで歪んで、その傾きから、脚の腓骨という外くるぶしにジョイントしている骨も、足関節も変形しかかっています。
今までは、ここまでではなかったのだけれど、部活で、基礎トレに励んでいる間にどんどん筋肉のバランスが崩れ、頭蓋骨の歪みが全身に影響を及ぼしているように思いました。
そんな頭を触りながら息子に気にしてるかと尋ねたら、「誰もそんなこと見てないから気づかないけど、一人だけ、気づいて、どうしたかと聞かれた。生まれつきだって答えたら、へぇー。天狗みたい。天狗って頭がでこぼこなんやろって言われたから、俺は天狗の生まれ変わりやと思うことにしてる」と、あっけらかんと答えてくれたので、ホッとしました。
この子は小さい頃から漏斗胸と言われていました。みぞおちの上の胸骨がくぼんでいる胸郭のことをいうのだけれど、実害はないと聞かされてきました。が、その後の成長を見ていると、他の子に比べて、腹圧が弱かったように思います。だからみぞおちのところで、身体が折れてしまい、姿勢が悪く、走ったり飛んだりがあまり得意ではないように思いました。
その子が中学になり部活で身体を鍛え、腰筋始め全身を鍛えることで、腹圧も強くなり、姿勢も良くなって来ました。
しかしやはり、生まれつき関節を結ぶ靭帯が弱いようで、冬の寒い時期に疲労が蓄積すると、筋肉や骨格器の異常(つまりオーバーユースによる怪我)になる前に、指の付け根の関節あたりの皮膚が炎症を起こし突き指のような痛みが出て来てしまいます。
初めてこのような状態になった時は、ググってみると、恐ろしい難病名に行き当たり先行き真っ暗みたいな気持ちになりました。しかし、疲労と寒さから起きるものなら、血行を改善するマッサージが有効に違いないと考え、朝晩マッサージを始めると一週間足らずで症状がなくなり、大変安堵しました。
で、今回の寒波でまた、指が腫れてしまい、よくよくみると、全身に関節の変形が現れていたのです。
頭の形や関節が生まれつき奇形であることは、そう珍しいことではありません。身体を触る仕事をしていると、大なり小なりおかしなところがある人をよく見かけます。
奇形は見た目の問題だけではありません。人間の身体は、地球の重量に逆らい二本足で立ち歩くために、最も合理的で無駄のない進化を遂げて来ているので、その骨格器に異常があるということは、重量に抗う構造に弱点を抱えて人生を出発するということになります。
骨格期の異常や中枢の命令系統の異常を筋肉で補いきれない時に、先天的な障害となります。
少しの奇形であれば、筋肉でその弱点を補って問題なく生活できる場合が多くあるのです。
筋肉は弱点を補ってくれる最強の武器です。ですから、構造に問題がある時は、アンバランスな筋肉を手入れした方がその歪みが大きくならなくて済むことが多いように思います。だから適切なマッサージは障害、特に子どもの場合は、大変有効な治療となると考えています。
息子のあちこち変形しかかった身体を触りながら、この身体でよくも飛んだり跳ねたり頑張ってやっているのだと思い、関節の変形が不可逆的にならないよう成長期が終わるまでは小まめな手入れをしてやろうと思いました。